PATEK PHILIPPE(パテックフィリップ)のゴンドーロ
Brandear
人気ブランド「PATEK PHILIPPE(パテックフィリップ)」の腕時計【ゴンドーロ】の人気の秘密や豆知識などブランディアならではの視点でご紹介させていただきます。
「固定概念に囚われるな!!」
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新しい何かを生み出そうとする時などに発するこの言葉、ひょっとしたら、あなたもどこかで聞いたことがあるかもしれません。しかし人間の脳は変化を嫌います。できるだけこれまでと同じ流れ、同じことの繰り返しを好み、変化が起きるとイレギュラーな事態として不快感を感じます。これはDNAに組み込まれた仕組みであり、何かしらの異常を察知するために必要な感覚、つまり、身を守り安全に生きる上で必要な要素なのです。この抵抗を乗り越えてこそ、時代を創るほど強力な変化を生み出せるわけです。
少々大げさな滑り出しですが、「時計は丸」とどこかで決めつけてしまっている人には、このパテックフィリップ・ゴンドーロは異色の存在かもしれません。トノー形・レクタングル形などと呼ばれるケースデザインをもつこのモデルは固定概念にとらわれず、それでいて、世界最高峰の腕時計メーカーとしての伝統もしっかりと受け継ぐ素晴らしい存在です。角ばったシルエットながら随所に表現される女性的な曲線美、もはやこのブランドの顔とも言えるシースルーバックから覗く無数の部品のハーモニ—、本体からバンドへスムーズに流れる絶妙なサイズ感、どの角度から観ても全くスキのない作品として、人々の記憶に深く刻み込まれる存在といえます。
あえて茨の道という選択
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パテックフィリップ・ゴンドーロのもつ独特のデザインは、20世紀初頭に流行した芸術、アールデコ様式に強い影響を受けています。ほぼ同時期に進行していたアールヌーボー様式とは逆に、直線的・幾何学的で、どちらかというと実用性を意識した芸術様式ですが、まさにゴンドーロのシルエットと言った感じではないでしょうか。これは、表面的な部分ももちろんながら、この芸術様式を表現するための技術的側面も注目に値します。
実用的芸術であるための要素として、スッキリしたシルエットは大切で、これを創り出すためにはケースとなる金属材料の強度が要になります。金属加工の方法は、鋳造・削り出し・鍛造と大きく3つに区別されます。通常腕時計のケースは削り出しや鋳造によって作られますが、パテックフィリップはあえて高度な技術力を必要とする鍛造という選択肢を選びました。鍛造による金属加工では、材料の粒子が整えられることによる強度の増加が得られ、結果として製品サイズを薄くすることができます。
しかし、先にも述べたとおり、高度な技術を必要とするためコストや時間もかかります。時計を単なるツールとして捉えるならば、まるで意味の分からない選択肢をとっている事になりますが、洗練された芸術品と捉えるならば、非常に評価すべき選択です。やはり、最高レベルの腕時計ブランドとしての威厳を感じざるを得ません。